クレイジーな安全運転おやじ
とんでもないオヤジに会ってしまった。
***本日の登場人物 *** |
<通勤時、渋滞をバイクですり抜ける事に情熱を燃やす男、私JIJI> |
<どこにでもいる、他人の事を考えず我が道をいくスクーターおばさん > |
<私の昔の同僚で、現在トラック乗りをしている男 通称『ヤスさん』> |
<カブにのったオヤジ> |
<白バイお巡りさん> |
その日はなんだか朝から気分が良く、少し早く出勤することにした。 しかし気分が良かったのはその時だけだった。 家を出て10分くらいで、スクーターのおばさんに追い付いた。 おばさんは渋滞のすり抜けが下手だったが、事あるごとに左側の歩道に乗り込 み、ビビビ〜っとホーンを鳴らし続け、チャリンコ学生をまるで蹴散らす様に走っていた。 『なんだ?このオバハン、ひっどいなぁ。まぁオバハンには何言っても無駄やし、放っといて早く抜いちまおう』と思ったが、道路は片側一車線なので、路肩からのすり抜けしか出来ず、スピード的にはおばさんとほとんど変わらず、なかなか抜きたいんだけど抜けず、かといって自分まで歩道をつっ走るのは私自身バイカーとしてのポリシーが絶対に許さず、やや困った状況が続いていた。
そんな時である、我々はカブのオヤジに追い付いた。 ちょうどそこは乗り込める歩道もなく、おばさんはカブオヤジの後ろに付かざる を得ず、すぐさま私はおばさんの前にせり出した。 『やっとオバハン抜けたぁ〜』と安心して前をよく見ると、渋滞中のそのトラックは知り合いのヤスさんのだった。 ヤスさんは私のバイク音に気付いたのか、トラックを少し中央寄りに走らせて左側に充分すり抜け可能なスペースを作ってくれた。
だがカブオヤジもおばさん同様どうやらすり抜けが下手(怖い)らしく、全然行く気がないので、私は左手をちょっとあげて『じゃあ、お先に行きますよ』とばかりにスピード上げたら、何とカブオヤジもグイっと出てきて、トラックの左後方にピッタリへばりついて私を前に入れてくれない。 『はぁ?どうゆうコトじゃ?わざと入れないつもりかオッサン!』と、一瞬思ったけど、ここはまぁひとつ、もいっぺん低姿勢でいこうと考え直して、左手あげてぇ〜頭さげてぇ〜笑って「どぉも〜っ」って行こうとするや否や
「いかんいかん!おい、それはいかんぞ!」ってカブオヤジが叫んだ。
頭の中が真っ白になりました。何故オヤジは叫んだのか?オイラ何か悪いことしたのか?一体この状況は・・・???
さらにオヤジが叫ぶ 「お前みたいなんがおるけん...」
訳わからず状態だったけど、この一言で私はカチンときた。 『族』だとか『原チャのガキ』を嫌っているのはオヤジの比ではない。それを、 よりによって...
「違うやろがオッサン!オッサン行けんでもオレは行けるんじゃ、邪魔するな!」
それでもオヤジは続ける 「お前、親が危篤なんか?あほみたいにとばして走って...ほんで事故するんじ ゃ...」
私も叫んでしまった 「ほんまにアホなんはここで歩道走ってまで追い越しするようなヤツだろが!」
でもオヤジは黙らない 「おいこら、ほんならそこの駐在所いこう、お前みたいな暴走族はつかまえてもらわないかん」
おっさんおっさん、いくらなんでも『駐在所』って...ここは市内で、この道は国道なんだけど・・・
もうメチャメチャ怒ってたけど、急にシラケて、いつまでも並走して怒鳴りあうのも嫌気がさしてきたので、実際警官にでも仲栽してほしい気分だった。
その時であった、郷を煮やした後ろのスクーターおばさんが、再び現われた歩道に乗り込んでビビ〜〜っと抜いて行ったと思いきや、蔭から白バイが現われた。 100メートルくらい先のコンビニ駐車場におばさんを導いた白バイに続いて、私もカブオヤジをうながした。 おばさんのキップを切っているお巡りさんにむかってカブオヤジはしきりに何か 言っていたが、とりあえず私は一服、プハ〜〜ッ! おばさんの対応を終えたお巡りさんは、やや迷惑そうな顔でこっちをむいた。 「とりあえず免許証だして・・・ほう、君は若いのにゴールドか...」
まずオヤジがきりだした 「こいつ暴走族なんじゃ、ほんでワシにビビーって鳴らして...(中略)...こいつ捕まえてくれ」
お巡りさんがまた私のほうをむいたので、私は事の一部始終を説明した。 私の言ってることのほうが筋が通ってて、しかも正しいのは、その雰囲気でわかる。でもオヤジから見れば私は『族』と同じなんだろうなぁ、だからオヤジはまたこう言った
「お前みたいなやつらが...」
がんばって冷静に説明していた私は再びブチ切れてしまった。
「おっさん!四輪の免許でカブ乗っとるくせにバイクのことでうだうだ言うな! オレはちゃんと技術も知識も試験うけてバイクの免許取っとんじゃ。ええか、バイクは危ないんじゃ、その免許取ったって言うことは『命賭けてバイク乗っとる』ちゅう事の証なんじゃ。 オッサンに文句言われるすじあいは、ない!」
お巡りさんもオヤジに向かって最後に言った。
「ま、そういう事だから...」
98.1.13