全日本バスプロ選手権

日本最強にむけての熱き戦い!

 

  


11月11〜12日 河口湖

344位

初日NF/二日目NF

選ばれた者だけが戦いを繰り広げる日本最大の一戦に出場することになった。

<プラクティス>なし

<初日>金曜日の仕事を終え、真夜中の高速道路をひた走って、早朝の河口湖畔に到着した。

そそくさと急いでボートをランチングし、大会の準備にとりかかる。

天気予報はこんな時だけ当たるもので、ポツポツと雨が降ってきた。やっぱ雨かよ。

まぁ今のうちからレインコートを着込んでいれば、車中に置き忘れて湖上でズブ濡れになることもないのでヨシとするか。

慌ただしいなか色々手伝ってくれたのは、地元四国から出場しているH井プロ...こういう場所ではホント頼りになるお方です。

大会受付け間際になって、なんとキャップ(帽子)を持ってきていない事に気付き、一瞬目の前が真っ白になる。

いつも車に何個も積みっぱなしなのに、車内整理なんてしてくるんじゃなかったよ...時すでに遅し。

早朝に開いているコンビニ程度では当然ながら売っていない、これは困ったな。

泣きのコールを入れたのは、こちらも四国徳島から出場しているY山プロ...すると予備の帽子を貸してくれるとの事、ホッ。

仲間のありがたみを強く感じた朝の出来事だった。

いよいよスタートだ。

スローエリアとなる河口大橋をくぐると一気に全開!目指すのは鵜の島西側エリア。

たとえその場所、誰もおらず寂しくたってオイラ一人だけでも攻め抜いてやる!と決めていた。

JIJIが河口湖でネイティブを狙うなら、それもデカバスを狙うなら、その場所しか考えられない程にお気に入りのエリアである。

鵜の島航路を突き進んで左に曲がるとそこは...船団ができていた。マジっすか。

確かに地形や季節を鑑みればこのエリアを選択する選手もいるだろう、しかしこの混雑ぶりは何だ?!

しかもよく見ると、それぞれのボートに貼ってある登録地のシールも山梨や静岡など、明らかに地元連中ばかり。
(もちろん、出場選手の割合が地元プロの圧倒的多数なのもあるのですが・・・)

そして自分が知りうるピンスポットにも先行者が入っていたのだが、その選手を含め多くの選手がほとんど場所を動かない。

間違いなく皆が皆、それぞれに狙っていたピンを撃っている。そこで心中というほどの覚悟で・・・

無論それは自分も同じことだった。ただどうしても攻めたいスポットには完全に入れない。

少し空いている場所のなかで、自分が攻めたかった『ブレイク&ウィード』に近いスポットを探しつつキャストを続けていたが、一向にアタリは無い。

先行者が2本目のバスをそのピンで抜いた。私はためらわず移動を決意した。

勝負スポットに入れないのであれば、安直なようだが自分のそれまでの実績をモチベーションに切り替えるしかない。

それまで何度も意地の一本を獲ってきた桑崎の岬からワンドにかけて進入し、良質のウィードパッチを探して撃ってゆく。

深場から浅いほうへ流し、ショアラインまで辿りつくと、シャローでサイトをはじめる。

そして再び深場へと...Wの字を描くように何度も何度もシャロー〜ミドルを往復する。

しかし見えバスはおろか、ここぞと決めたウィードパッチやフラットのサンドバーでも反応は無かった。

手は尽くした。これで無理ならこのエリアでは5万年かかっても釣れない!

意を決して移動してきたのは鵜の東エリア。

ブレイクラインは探さずとも一列に並ぶ他選手のボートがそれを示していた。入り込む余地は...無い。

一段沖のエリアを攻めながら様子を伺うが、誰のロッドも曲がる気配すらない。

そこで丸栄ワンド西側の岩盤岬を陣取り、岩の隙間を丹念に攻める。これでもかという程にじんわりと。

だがネイティブバスの反応は皆無。何か変わったことがあるとすれば、降り続ける寒い雨に袖口や足がしみてきたくらいか...じんわりと。

そして苦汁のノーフィッシュ申告。雨に濡れることはない部分なのに、胸が寒くてたまらない。

初日の大会中ずっと、ある恐怖と戦っていた。

それはビルジポンプの不調という事実だった。いや不調というより、どうやら完全に逝ってしまわれたのは明白だった。

たまたま幸いにも、さほど雨水は船底に溜まることなく競技を終えられたのだが、一時本降りになったときは釣りを中断してでも消化バケツで水汲み排水する覚悟をした。

しかし競技後も浜に着けたボートにはポツポツ雨が降り続けている。

翌日は晴れる予報だが、このまま夜中放っておいて水が溜まってしまうと二日目はリタイヤ必至だ。

不眠不休でトーナメントを戦いバテバテの身体は今すぐにでも仮眠しろと叫んでいるが、力をふりしぼってホームセンターに駆け込む。

ボイジャーバッテリーに合う12v仕様の「お風呂ポンプ」を購入して、小雨降るデッキ上で交換作業。

以前のポンプが逝ってしまう際にショートを起こして溶けてしまった配線...これも同時にまるごと繋ぎ替えなくては不安だ。

約1時間半かけてようやく終了、もうね...ヘトヘトなんてモンじゃない。

あらためて交換したビルジポンプを試運転、すると・・・すでに結構水が溜まっていました、おぉ怖い怖い。

だがこれで大きな不安が解消されたのは事実。

「よーし、明日はどんなに雨が降ろうが余裕で釣りに専念できるぞー!」(←だから明日は晴れだって!爆)

ロイヤルワンド対岸でボートを片付けていた四国勢の面々と合流し、夕食とあいなった。

行きたかったステーキハウス『マルシゲ』には皆さんプラ日に行ったとの事、ありゃそうっすか!

そこでもうひとつ馴染みのお店『ひふみ』へ・・・

ここもボリュームたっぷり&美味いのよ。

でもここに来るんだったら、河口湖でしか会えないLuckyclaft柴田隊長とも一緒に来たかったな。

今年あの人に会えないのが残念でならない。

お店に入り、メニューを熟知していたJIJIは迷わず焼肉定食(大)を注文。

出てきた大盛り焼肉を見て他の面々は「それいいじゃん!俺も頼めばよかった、ウマそうー!」

・・・なんて言いながら、皆さんカツ丼やトンカツ定食って...勝つ気マンマンのゲン担ぎじゃん。

注文変更なんてする気さらさら無いでしょう(笑)

このときばかりは睡眠欲よりも食欲が勝った。

一心不乱に料理を食らう、もう何も考えずに・・・

今回お世話になる宿は『あかいし旅館』

いつもトレーラーを駐車している河口湖漁協駐車場のすぐ横にある便利な旅館である。

ここのお風呂は天然温泉!

ホントは疲れて満腹で眠くてタマラナイのよ、でも温泉!これは浸かっておかなきゃね。

だけど部屋の皆さんはまずタックル整理、まぁそれが普通です、勝負しに来たトーナメンター四国代表なんだもん。

まずはテレビを観ながら談笑しながら、その日の釣りや状況をダベりながらのんびりと・・・

あたりまえだが一向に誰も「風呂入ろ」とはまだ言わない。

いつの間にか畳に伏してうたた寝してしまっていた。

お気に入りの芸人ヒライケンジ(by『エンタの神様』)の歌で反射的に起きちゃったけどね(爆)

寝ぼけまなこで一人お先に風呂へ入り、部屋に戻ってきたら皆さん徐々に真面目な顔して本気モードで翌日のタックル準備をしていた。

ようやく何人かが一段落して風呂へと向かう。

人数の少なくなった部屋はとたんに随分と静かになった。

テレビもバラエティ番組からいつの間にかニュース天気予報へ・・・これは充分な子守歌だわ。

夜おそくまでタックル整理する仲間たちを横目に
睡魔に襲われたJIJIは深い闇へと落ちていった。

<二日目>誰かの携帯...着うたメロディーがけたたましく鳴り響く。

それが「目覚まし」なのか・・・

実質6時間の睡眠では疲労困パイの身体を回復させるには全然足りない。

しかし大会は待ってくれるはずもない、待たせるつもりもない。

カッ!と目を見開き飛び起きる。

起きたのはいいが、それから着替えて出発する体制になるまでが...実はかなりグダグダ(爆)

まだ夜が開けきらない宿を出て、黒くそびえる富士に見守られながらタックルを車に積む。

ロイヤルワンドに係留していたボートに重いバッテリーを持っていく頃には、ずいぶんと空も白みはじめてきた。

バッテリーを繋ぎ最初に行なったのは、船底の溜まった雨水を抜くことだった。

やはり一晩でずいぶんと溜まっていた、ビルジ直しといて正解やわー。

ちょうどH井プロがトレーラー引いて到着したので、昨日のお返しにランチングの手伝いをする。

そのまま氏とタックルチェックを行ない、準備完了!

デッキのうえで朝の一服を終え、受付へと向かった。

大会本部前に集合すると、もうミーティングが始まりそうだった。

たまたまH井プロが不在だったのだが、その少ない時間にせっかくだからと四国代表の面々で記念撮影をすることにした。

ここに写っている選手のうち2名は、初日の競技終了後に次期TOP50シリーズへ昇格するための面接を受けていた。

もちろんそんな連中や現TOP50・元TOP50なんて選手ばかりが全国から集結しているのがこのバスプロ選手権なのだ。

カツカツの成績で出場権利を得た自分は、おおよそ場違いなのかと思うほどの雰囲気・・・

しかし出場したからには萎縮なんてしていられない、そう...たとえ初日ノーフィッシュだったとしてもだ。

ミーティングが始まりJB山下会長より厳しい激励の言葉が発せられる。

「TOP50参戦は大きな目標でしょう。確かに皆さん釣りは上手い、でも私が面接で見るのは例えばきちんと挨拶できるかどうか...そういう基本的な人間性や社会性なんです。今回の面接でも挨拶すら出来なかった者がどれだけ多いか!」

なるほどねー。

  ...人間性・社会性ならオイラは絶対の自信があるよ、ただ足りないのが釣りの腕前のほうなんだよねー(泣)

初日とうって変わって雲ひとつ無い快晴の河口湖へ出撃...いよいよ最終日のスタートだ。

とは言え、画像だけでは判らないでしょうが、その日はこの秋一番の冷え込みなのですよ。

スタートする頃には、猛烈な冷たい強風(全国的にそれを『木枯らし一号』と呼ぶやつ)が吹き荒れておりました、ひえ〜っ。

二日目の戦略・・・まずは一本でもキープしたい、そのため朝一は初日リリースバスを獲りにいくことにした。

自分のフライトが遅かったので、「最終フライトが全員スタートするまで釣りしてはいけない約束」のグラブワンドにタイムロスすることなく入れる。これがリリースバス獲りを決めた最大の理由だった。

ただリリースバスも決して安易に狙えるシロモノではない。

前日に釣られ、狭いライブウェルでキープされ、酸欠間際で解放され、それから冷たい雨が水面に叩きつけ、一晩で表層水温が2度近く下がったコンディションのバスを反応させるのは、それはそれで大きな勝負なのだ。

シャローの岩盤サイトは先行者が陣取っていたので、むしろこの寒さで少し深く潜っているであろう個体を狙うため4m〜7mのブレイクラインを攻める。

サクっと一本なんて期待してはいけない、しかし粘りに粘ってでも必ず一本!という覚悟でキャストを続ける。

だが一時間...二時間...どうにもならない時間が刻々と経過する。

何かを切り替えなくてはいけない。

「まず一本」のためリリースバスを狙っているが、それだけで終始してしまうのでは自分らしい勝負じゃない。

そんなんじゃ、納得して四国に戻れるかってんだ!

木枯らし一号の猛烈な強風は続いていた。

河口湖大橋の外に出れば激荒れの波は必至...鵜の島はおろか白須まで走っていくことも随分タイムロスになるしリスキーだ。

ならば大橋内で勝負、しかもなるべく近いエリアでネイティブでも過去放流バスでも何でもいいから狙えるところはないか?

・・・ある!あるよ。不思議なことに今大会だれも攻めていないけどさ、そこ行ってみよう。

ロイヤルワンドの浮き魚礁からさらに沖、そこに水中島がある。

ただし水中島のすぐそばに航路があり、それをボートやキャストで越えてしまえば即アウト!すなわち失格だ。

風の強い時、特に今日のような西風吹き荒れる場合は危険極まりないエリアである。

誰も攻めていないのは、それなりの理由があるって事か。

この時期このエリアではバスが釣れないから、という理由もあるのかもしれない。

それでも行くのだ、それが勝負なんだから!自分が決めた道だから!

魚探でボトムの地形をしっかり確認し、慎重にボートポジションを決め、ここぞというポジションを陣取り、さあやるぞ!

エレキを常に踏んでいる状態でほぼ完全なステイを行ない、これしかないと決めたリトリーブラインにキャスト。

何度も何度も・・・何度も・・・何度もっ!・・・食って来いやー!

遊覧船のひき波、移動を繰り返す他選手のボート、時おり水面をザザザと『かめはめ波』のように吹きつけてくる強風、たくさんのヨソ事はエレキを踏む右足一本がすべて打ち消してくれる。

ボートポジションを保つため山立てしている目印をたまに確認する以外、周囲のことは全く気にならない。

全神経は、まだ見ぬバスへ...ただそれだけに集中していた。

何度かアタりっぽい感覚に悩まされる、それはギルのようでもありウィードの茎や溶岩にルアーが当たったようでもある小さい小さい感覚だ。

即アワセで何度もウィードが...そして一度だけギルがついてきた。しかし即アワさなければ次が無い。

何度目かのアタリも全身全霊でフッキング、するとついに放流バスより一回り良型の500g弱フィッシュがあがってきた。ついに・・・ついに・・・

しかし、なんだか元気なく簡単にランディングできたその個体は、ライブウェル内でもすぐ横を向く。

腹は膨れていないものの4〜5mレンジの魚だと思うため、念のためエア抜きする。

だが貴重な貴重なそのキーパーバスは全く元気を取り戻してくれない。

「しっかりしろよ、ルアーに喰らいつく元気あったんだろ?」

何度も何度もライブウェルを確認してはエラに新鮮な水をあててやり、ちょっとでも元気になってほしいと懸命の努力をする。

「頼むよ、なぁ頼むよ!なぁ...」

この戦いは決して一本勝負なんかじゃない、だから死にそうなキーパーは確かに大切だけど次の一匹も狙っていく必要がある。

キーパーの看病、2本目を獲るために釣り、そして再びキーパーの看病...と繰り返しながら釣り続ける。

でもね、そのうち新たな困難が襲ってきたのよ。

アタリか何か判断つかない微妙な感覚...でもこれを一気にアワセないとバスに出会えないのは一匹目を釣って理解していた。

そして次に感じたその微かなコツッ!に、全身で反応!大きなアワセをかます。

しかしそれはどうやら溶岩の隙間にリグが引っ掛かったらしく、フルパワーで持ち上げたロッドの弾力は...耐えられなかった。

バキッ!・・・唯一のパワーフィネスに対応できる硬めのスピニングロッドが完全に真っ二つ、折れてしまった。かなりショック!

「それでもオイラの心まで折れちゃいないぜ!」と強がるJIJIに、河口湖の神様はさらに厳しい困難で襲いかかってきたのよ。

強い風のなかひたすら同じポイントにステイし続けていたため、常に作動させっぱなしのエレキ...いよいよバッテリーが空になったのだ。

後部デッキのライブウェル用バッテリーと交換できる時間も余裕も...無い。

風は一向に収まる気配は無く、最大パワーでも(失格になるエリアへ)流されそうになるのを必死で抑えつけながら、とにかくリグを投げる。

「バッテリーもバスも...死ぬなーっ!」心の中で泣き叫びながら、それでも攻めの姿勢は崩さない。

バッテリーが逝ってもなお、エンジンで目標ポイントの少し風上へと移動し、微かに動くエレキ操作で方向修正しつつ流されながら1キャスト。

リトリーブが終わる頃には釣り禁止エリア寸前、再びエンジンで風上まで戻って次の1キャスト。

何度でもやってやる!この大会に出場するまでの一年間さまざまな苦労を思えば、これで諦めるようなトラブルじゃないんだ!

ほぼ完全にエレキペラが動かなくなるまで渾身のキャストを続けた頃、第一フライトの帰着時刻が近づいてきた。

前向きな気持ちでストップフィッシング。ロイヤルワンドの浜にボートを着け、今度はキーパーバスの蘇生に全力を尽くす。

このバスが少しでも真直ぐな姿勢で保てるようなら、すぐにウェイインできるよう、ウェイインバッグのなかで一所懸命にエラへ新鮮な水を送ってやる。

しかし最後の最後まで私のバスは腹を上に向けて、元気を取り戻すことは無かった。デッド扱いの検量外フィッシュである。

悔しくてたまらないけどノーフィッシュ申告を行ない、2006年バスプロ選手権への挑戦は静かに幕を閉じた。


これで見納めなのか?
富士は何も答えず、ただ我を見下ろすだけだった。